2006年5月11日の実行委員会において、標記の委員会の編成が決議され、「うちぬき21プロジェクト」として、黒瀬ダムの松山分水問題に取り組むことになりました。当日審議された内容をまとめると以下のとおりです。
分水問題を機に西条市の水資源を調査し、その大切さを改めて市内外に啓蒙する。
■活動内容
松山市から西条市へ正式な分水申し入れがなされる(平成18年1月12日)に至り、西条市民として、西条市の水資源の現状や保全および活用のあり方について調査研究がなされるべきである。
分水問題についての市民の受け止め方や市民感情の把握のため、適宜、聞き取り調査もしくはアンケート等を実施する。その内容は委員会で作成する。
専門家や有識者による市民啓発のための催し(集会など)の企画及びコーディネイトを行う。
(愛媛新聞 平成18年3月19日より)
調査活動を始めた経緯は。
水辺のウォークラリー大会などうちぬき21プロジェクトの活動は、西条市にうちぬき(自噴井戸)があり、きれいな水が流れていることを前提としている。分水問題が報道されてから、あらためて水について考え始めた。
具体的な活動内容は。
水に詳しい人や、うちぬき業者からの聞き取りから始めた。分水問題に関心を持つ他団体にも趣旨を説明し、連携を呼び掛けている。市民がどう思っているか感触をつかもうと、まずは会員や身近な人にアンケートをしている。考える機会を提供するため、6月の定期総会に合わせてシンポジウムも開きたい。
【1】西条市の水資源の現状や保全および活用のあり方についての調査研究
◎西条のうちぬきの現状としくみ
「うちぬき」あれこれ
三木秋男
(一部参考)H12.6.20 西条市地下水源調査
- 西条はなぜ「水の都」か?
・多量の雨が降る。
・加茂川の浸透がよい。
・地下が巨大な「水がめ」 - 「水の都」の規模は?
・加茂川の流れは短く(約30km)、流域面積は狭い(約200km2)
・流量は少ない(最低4m3/秒が難しい) - 「名水百選」での評価は?
・西条のように広い自噴地帯(約2.2×5.6km、800ha)は、現在、国内では殆どなくなっている。
(都市化と工業化) - 地下の構造は?
・A内陸側地下水盆 水の都の中心、表面積1,370ha、良質の地下水。
賦存量=下部帯水層の体積×有効間隙率 [可採量ではない] =2.6~3.5億m3
◎黒瀬ダムとその利用
黒瀬ダム概要と工業用水概要
黒瀬ダムは工業ダムとして昭和48年に完成。
ダムに蓄えられた水は工業用水として工業都市としての西条の発展を支え、黒瀬ダムから加茂川に流れる水は、地下水の涵養に重要な役割を果たしている。
黒瀬ダムの工業用水は市内長瀬の取水堰で、日量約55,000トンの取水を行っている。給水計画では日量22万9000トンを計画しているが、契約量は全体の22.82%である。
<黒瀬ダム(貯水池)の規模>
総貯水量 3,600万m3
利水容量 2,800万m3 (7/1~10/20)
3,010万m3 (10/21~6/30)
◎松山市の水状況
事業費試算 用地・補償費含まず
松山市の新規水資源問題で市は4日、黒瀬ダム工業用水転用の概算事業費を約350億円~420億円と試算、初めて公表した。
公表事業費は、用地・補修費を含んでおらず、導水ルート新設のケースが約370億円~420億円、既存施設を一部利用した場合、約20億円安い350億円~400億円。造水コストは1トン当たり140~160円で、償却期間は42~46年とした。(愛媛新聞H17.10.5)
■淡水化施設350~400億円
松山の水源候補 耐用16年 短さ課題 市議会特別委
海水淡水化は、安定的な水源だが、維持費が年間約10億円と高額で、施設の耐用年数も16年と短い点を課題として挙げた。
黒瀬ダム工業用水の転用は、県公営企業局や西条市など関係者の同意が必要であることや、導水経路が長いためルート選定で事業費が変動する点を指摘。
トンネル方式では、トンネル貯水は概算事業費が約1300億円余りと高額になり、トンネル湧水の場合は安定取水や他流域への影響が、それぞれ課題になるとした。(愛媛新聞H17.8.27)
■西条工水転用を最優先
「黒瀬ダム(西条市)の県営西条工業用水を一部転用することを最優先とする」
理事者は黒瀬ダム転用に伴う給水原価を1トン当たり140~160円と初めて公表。「現在の市公営企業局の給水原価が約150円なので、ほぼ同じ水準。山鳥坂ダム中予分水は220円だった」と説明した。(愛媛新聞H17.11.29)
■トンネル方式での松山市の水源確保を提唱する「山岳地下水開発技術検討委員会」委員長 福島忠雄さん
松山市の新水源問題は6月の加戸守行知事の発言もあり、選択肢は黒瀬ダム(西条市)からの分水、海水淡水化の二つに絞られたかにみえたが、学者や建設コンサルタントでつくる山岳地下水開発技術検討委員会が第3案「トンネル方式」を提示した。
黒瀬ダムからの分水や海水淡水化と比べての優位性は。
黒瀬ダム分水は、西条市民に認められない限り難しい。コスト面ではトンネル方式と変わらないが、ハードルは高いだろう。海水淡水化はコストが非常に掛かる。造水や設備維持費に相当な電力が必要で、環境面でも逆行するのではないか。トンネル方式は環境融和型で、かつ小規模分散型。ダムなどの拠点型なら一度に千億円もの投資になるが、トンネル方式なら予算に応じて少しずつ積み重ね、目標量を確保できるメリットがあり、検討価値はある。(愛媛新聞H17.8.6)
◎山林及び水源の状況
◎関連報道記事
2005年8月13日~黒瀬分水余力8万トン弱
2005年11月26日~ 西条工水転用を最優先
2005年12月10日~ 黒瀬ダム分水最優先
2005年12月17日~ 分水で松山、西条決議
2005年12月24日~ 分水協力を知事に要請
2006年1月5日 黒瀬分水、西条市長が協議の構え
2006年1月7日~ 黒瀬ダム分水公式要請
■渇水期地下水位40センチ低下
西条市研究会 松山への分水で試算
西条市水源対策調査研究会の第2回会合が31日市役所であった。
県営西条地区工業用水の取水量を、松山市が分水を希望する日量5万2千トン増やした場合、渇水期には地下水位が40センチ余り下がるシミュレーション結果などを盛り込んだ中間報告があった。(愛媛新聞)
■水の都 熱い議論
西条・分水問題シンポに700人「余剰なし」不安訴え
西条市の黒瀬ダムを水源とする県営西条地区工業用水の松山市への分水問題について、西条市民の立場から考えるシンポジウムが24日夜、同市神拝の市総合文化会館であり、700人近くが熱のこもった議論を繰り広げた。(愛媛新聞H18.10.25)
■経営改善努力 地元も
公営企業管理者 早期対応求める
西条工水は県営事業で経営責任は県にある。しかし事業の円滑な推進を図るため、相互に協力するとの確認書を1982、83年に西条、新居浜両市と交わしている。(愛媛新聞)
■黒瀬ダム松山分水 西条の地下水に配慮
理事者は「県は広域調整役として(西条工水の未活用分を)松山地区に関しては分水ができるように協議したいし、当然、水を持って行く場合には地元にとって困るようなことではいけない」(愛媛新聞)
■西条の分水考えよう「市民の会」24日シンポ
市内の約20団体から30人余りが出席した。うちぬき(自噴井)の仕組みや、黒瀬ダム、県営西条地区工業用水の現状などについて学習した後、今後の活動を協議し、シンポ開催を決定。「西条の水は本当に 余っているのか」をテーマとし、分水の問題点や西条市民の思いをアピールする。(愛媛新聞)
■分水 強く反対すべきだ
西条の29団体 市長・議長に提言
西条市の黒瀬ダムを水源とする県営西条地区工業用水の松山市への分水問題で、西条市の「県営西条工水松山分水問題を考える市民の会」(神野顕彰会長)は22日、「分水については強く反対すべきである」との提言文を、伊藤宏太郎市長と高橋和寿市議会議長に提出した。(愛媛新聞H19.1.23)
■西条市長が否定的見解
「余水あれば地元で活用」
西条市の伊藤宏太郎市長は6日、定例市議会の代表質問答弁で、松山市への黒瀬ダム分水問題について、これまでの「水を守る」という抽象的な表現から一歩踏み込み、「もしも(県営西条工業用水に)余水があれば、黒瀬ダム建設の精神を生かし、この地域で活用すべきだ」と分水に否定的な姿勢をにじませた。(愛媛新聞)
■西条工水の計画給水量見直し
減量なら補助返還も
和気公営企業管理者
経済情勢の変化などにより計画給水量の検討も必要だが、仮に減量する場合は多額の補助金返還や企業債の繰り上げ償還などの問題が生じるため、これらの対策を講じた上で取り組む必要がある。 (愛媛新聞)
【2】分水問題についての市民の受け止め方や市民感情の把握のため適宜聞き取り調査もしくはアンケートを実施。
■分水問題について(中間集計)H18.3.3現在
賛成 15
反対 26
どちらでもない 6
(総計 47 )
・緊急やむを得ないときに限る
・余裕があれば
・恒常的に、は困る
・余裕があることを数値で示して
・新西条市全体で水が不足しなければ
・分水によって西条が水不足にならないこと(2)
・水資源の調査を十分にして(2)
・人道的に困ったときだけ
・貯水量(ダムの)を正確に把握し、10年位のデータにもとずいて、松山市とよく協議して
・松山市が水不足の時だけ
・本当に西条市の水に余裕があるのか
・今まで無関心だった
・市民投票をして
・西条市民の生活に影響がないように
・松山市の現状解決への選択肢の一つとして検討する価値はある
・ダム建設で水没した村を離れた当時の人々の苦悩を忘れることのないよう、慎重に考えるべき
【3】専門家や有識者による市民啓発のための催し(集会など)の企画及びコーディネイトを行う。
2006年度総会 分水問題 パネルディスカッション 2006年6月
公開公開シンポジウム 2006年10月
コーディネーター
愛媛大学農学部 教授 高瀬 恵次
パネラー
全国地下水利用対策団体連合会 特別顧問 三木 秋男
西条商工会議所 専務理事 明日 賀廣
西条商工会議所 女性部会長 岩間 寿子
道前平野土地改良区 理事長 越智 市郎
西条市土地改良協議会 西条支部長 白石 充
西条市役所生活環境部 副部長 佐々木和乙
【提言文】
黒瀬ダム分水問題研究委員会
平成17年、黒瀬ダム松山分水問題が表面化して以来、NPO法人「うちぬき21プロジェクト」内で調査研究が始まり、昨年、「県営西条工水松山分水問題を考える市民の会」が結成され、市民の「水」に対する興味関心の深まり・広がりを感じるに至りました。西条市民の誇りであり命である水資源を守ろうという市民意識の高まりは強く、生活用水・農業用水を地下水に頼っている市民からの「西条に余剰水はない」、「他地域が渇水の時は西条も水が不足」、「名水と称される水を子々孫々の代まで守るべきだ」「海岸近くの地下水の塩水化を何とかしてほしい」「灌漑期の田の水が不足している」等々の声に接し、黒瀬ダム松山分水については強く反対すべきであることを提言すると共に、分水問題を思うと、西条の水の危機的な状態に対し早急に施策を講じていただきます様、要望いたします。郷土の豊かな自然を守ろう、との市民の強い思いに耳を傾け、適切なご判断をお願いいたします。
平成19年1月22日
県営西条工水松山分水問題を考える市民の会 参画団体
橘土地改良区 / 神戸橘一部土地改良区/ 神戸土地改良区/飯岡土地改良区/大町土地改良区/下島山土地改良区/船屋土地改良区/玉津土地改良区/朔日市新田土地改良区 /神拝土地改良区/港新地土地改良区/古川乙土地改良区/氷見土地改良区/禎瑞上部土地改良区/禎瑞土地改良区/西条市青年農業者協議会/西条商工会議所/西条青年会議所 /石鎚水源の森クラブ/新居森林組合 /JCシニア /ひうち立地企業協議会/西条商店街まちづくり協議会/西條史談会/加茂川漁業協同組合/愛媛県自動車整備振興会東予支部西条ブロック会/西条市倫理法人会 /新居地区旅客自動車協同組合/NPO法人うちぬき21プロジェクト
以上29団体